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  • 【空き家対策としての民泊経営の動向】


    1. 空き家問題と民泊の関係性

    2023年時点で国内の空き家率は過去最高の13.8%に達しました。特に地方では人口減少の影響で、管理されずに放置された空き家が社会問題になっています。こうした状況を背景に、空き家を有効活用する方法の一つとして「民泊」が注目されています。

    2. 空き家を民泊として活用するメリット

    (1)収益化の可能性 放置された空き家を宿泊施設として提供することで、家賃収入を得られます。特に観光地や都市部では、ホテル不足や宿泊需要の高まりにより、安定した収益が見込めます。

    (2)維持管理の向上 長期間放置された空き家は劣化が進み、倒壊や害獣被害のリスクが高まります。民泊として活用すれば、定期的に清掃やメンテナンスが行われるため、建物の寿命を延ばすことができます。

    (3)地域活性化への貢献 民泊利用者が地元の飲食店や観光施設を利用することで、地域経済の活性化につながります。特に過疎地域では、宿泊施設不足の解消にもなるため、自治体が支援するケースも増えています。

    3. 最近の民泊市場の動向

    (1)法規制の緩和と影響 2018年6月に施行された「住宅宿泊事業法(民泊新法)」により、届け出を行えば年間180日までの民泊運営が可能になりました。一方で、各自治体が独自の規制を設けるケースも多く、特に都市部では制限が厳しくなっています。しかし、地方では規制が比較的緩やかで、空き家を活用した民泊経営がしやすい環境が整っています。

    (2)訪日観光客の増加と需要の拡大 2023年以降、日本への訪日観光客数はコロナ禍前の水準に戻りつつあり、特に地方の観光地への関心が高まっています。ホテル不足のエリアでは、空き家民泊が宿泊施設の選択肢として重要視されています。

    (3)自治体の補助金・支援制度 多くの自治体が、空き家の活用を促進するために補助金制度を設けています。例えば、リフォーム費用の補助や、民泊開業支援を行う自治体もあり、活用すれば初期投資を抑えられます。

    4. 空き家民泊を始める際のポイント

    1. 自治体の規制を確認:民泊新法の届け出が必要か、地域独自の制限があるかを事前に確認する。

    2. 改修コストの見積もり:空き家を宿泊施設にするためのリフォーム費用を試算する。

    3. ターゲット層の選定:観光客向けか、ビジネス利用かなど、運営方針を決める。

    4. 管理体制の確保:清掃・チェックイン対応など、管理業務の体制を整える。

    5. 今後の展望

    今後、空き家問題がさらに深刻化するにつれ、民泊としての活用が一層重要になっていくと考えられます。特に、地域密着型の民泊や、長期滞在型の宿泊施設としての活用も増えていくでしょう。自治体の支援策を活用しながら、法規制を守った運営を行うことで、空き家の有効活用と地域活性化の両立が可能になります。 空き家を活かした民泊経営は、所有者にとっても地域にとってもメリットが大きい選択肢です。今後の市場動向を注視しながら、適切な形での活用を検討していくことが重要です。

  • 【連棟式長屋で民泊運営する際の注意点】

    【連棟式長屋で民泊運営する際の注意点】

    民泊記事vol5

    連棟式長屋は、古くから日本の都市部に多く見られる建築形態で、壁を共有する複数の住戸が連なっているのが特徴です。民泊を運営する際には、一般的な戸建てやマンションとは異なる課題があります。今回は連棟式長屋で民泊を開業する注意点について解説します。


    1.建築基準法上の制約

    連棟式長屋は、一棟建物として扱われるケースが多く、建築基準法の規制を受ける点に注意が必要です。

    ・耐火基準の確認

    民泊として利用する場合、用途変更が必要になること場合があり、その際に耐火性能が問題になることがあります。特に、隣接住戸との間の『界壁』の仕様が基準を満たしているか確認が必要です。


    2.消防法の適用

    民泊を営業する際には、消防法の規制を遵守しなければなりません。連棟式長屋は、建物全体で消防設備の適用を受ける可能性があるため、注意が必要です。

    ・自動火災報知器の設置義務

    建物の規模や構造によっては、火災報知器の設置が求められる場合があります。特に、長屋の一部で民泊を運営する場合でも、建物全体の消防設備の適合性が問題になることがあります。

    ・隣戸との防火対策

    民泊を運営することで、火災リスクが増加するとみなされることがあり、隣接住戸との防火対策を強化する必要があります。具体的には防炎カーテンや防火扉の設置が推奨されます。

    3.管理規約・近隣住民との関係

    連棟式長屋は、壁や屋根を共有しているため、近隣住民との関係が非常に重要です。

    ・管理規約の確認

    もし建物に管理組合が存在する場合は、民泊の運営が許可されているかを確認する必要があります。管理規約で民泊が禁止されているケースもあるため、事前の確認が必要です。

    ・騒音・トラブル対策

    連棟式長屋では、隣接住戸との壁が薄い場合があり、宿泊者の騒音が問題になりやすいです。

    ●室内に『静かに過ごすように』などの注意書きを掲示

    ●宿泊者に対して事前にルールを徹底

    ●夜間の騒音測定を行い、必要なら防音対策を強化

    ・隣人との事前相談

    長屋は住民同士の関係性が密接なことが多い為、事前に民泊運営の意向を伝えておくことが重要です。反対意見が多い場合は運営方法を見直す必要があるかも知れません。


    4.特区民泊の活用

    大阪市などの特区では、旅館業法の要件を緩和した『特区民泊』の制度があります。長屋での民泊を考えている場合、特区民泊が適用できるかどうかも検討してみましょう。

    最後に

    連棟式長屋で民泊を運営する際には、建築基準法・消防法の規制、近隣住民とのトラブル回避、用途変更の可否など、多くの注意点があります。特に、近隣住民との関係が非常に重要になるため、事前に十分な調整を行い、スムーズな運営を目指しましょう。

    民泊申請についてお困りの方は、行政書士ふるそう法務事務所がサポートいたします。お気軽にご相談ください。

  • 【大阪市の特区民泊で注意すべき消防設備のポイント】

    【大阪市の特区民泊で注意すべき消防設備のポイント】

    民泊記事vol.4

    大阪市の特区民泊では、『国家戦略特別区域法13条』が根拠法令となり、旅館業法の適用が無い代わりに、一定の消防設備の基準を満たす必要があります。特に一般の住宅とは異なる規定があるため、事前に確認しておくことが大切です。


    1.特区民泊に必要な消防設備とは?

    特区民泊では、主に以下の消防設備の設置が求められます。

    ①自動火災報知器の設置(感知器)

    ②避難経路図の掲示

    ③誘導灯の設置

    ・非常口や避難経路がわかるように、誘導灯や避難方向を示す標識を設置

    ・停電時でも点灯する非常灯の設置も重要

    ④消火器の設置

    ・有効期限内の消火器を、宿泊者が使いやすい場所に設置

    ・『業務用消火器』が基本

    *いずれもマンション、一戸建てや長屋などで免除されるケースもあるので、事前に消防署に相談が必要です。

    2.消防署への届出が必要

    特区民泊の申請時には、消防設備に関する書類を提出する必要があります。具体的には、

    ・防火対象物使用開始届

    ・消防用設備等設計届出書

    ・消防法令適合通知書交付申請書

    ・消防用設備等設計届出書

    などが求められる場合があります。これらの書類は、事前に管轄消防署と相談しながら準備を進めるのがスムーズです。


    3.定期的な点検と維持管理

    消防設備を設置した後も、定期的な点検と維持管理が求められます。特に消火器の点検や、消防設備の機能確認は怠らないようにしましょう。


    まとめ

    大阪市の特区民泊では、宿泊者及び周辺環境の安全を守るために、建物の種類や面積に応じて厳格な消防基準が求められています。設備の不備があると、申請が通らないだけでなく、万が一の火災時に責任を問われる可能性もあります。申請前に必ず管轄消防署に相談し、適切な設備を整えたいですね。

    もちろん当事務所でも申請に係る代理をさせて頂きます。

  • 【大阪民泊最前線】

     

    民泊記事vol.3

    現在この記事を執筆しているのは、2025年3月25日で、大阪万博開催の4月13日まで残すところ20日を切りました。そして現在大阪市での民泊の認定を受け付けいる保健所では申請予約が5月中旬まで埋まっているという情報もあります。万博開催に合わせて民泊の開業を考えられていた方々は焦りを感じているかもしれませんね。万博会場のパビリオンの工事同様、宿泊施設の工事や申請も急ピッチで進められていることでしょう。


    そんな中、ある大阪の民泊施設でとある宿泊者によるマナーの問題もニュースで取り上げられていました。1人での宿泊予約をしたにもかかわらず、数人で宿泊していたそうです。特区民泊では本人確認と宿泊者名簿を備え付けなければならない規定があります。ただし、運営の性質上、対面ではなくオンラインでの手続きなることが多くなり、それでも問題ございません。しかしながら、不正に宿泊されるケースも想定し、運営ルールも事前に対策を講じる必要があるかもしれません。

  • 【特区民泊申請における近隣説明会について】

    大阪市の特区民泊において、物件が決まり法令上民泊運営が問題なくできそうであれば、近隣住民への説明会が必要です。

    説明を要する近隣住居の範囲や、説明する内容も定められており、管轄保健所に申請の際は説明会に使用した資料も求められますので、のちにトラブルにならないように少しでも近隣住民への不安を解消する姿勢を見せて置きたいところです。

    主な内容としては

    • ゴミなどの廃棄物への環境
    • 深夜の話し声などによる騒音
    • タバコや火の不始末による火事
    • 緊急時の対応方法

    などが挙げられます。外国人観光客にとってのより良い宿泊環境の実現とともに、近隣住民が安心できる環境の併存が求められます。

  • 【なぜ大阪で民泊施設が急増しているのか】

    【なぜ大阪で民泊施設が急増しているのか】

    大阪市は国際都市としての地位を強化し、2025年の万博をはじめ、カジノを含む統合型リゾート(IR)の開発も計画が進み、ビジネスや観光のハブ都市としてさらに成長する見込みです。また関西国際空港の利便性の向上や、大阪メトロをはじめとする公共交通の拡充により、訪日客が快適に滞在できる環境も整いつつあります。

    国土交通省HPより

     


    大阪市の国際都市としての未来

    さらに、大阪市はインバウンドだけでなく、海外企業の誘致や国際会議の開催にも力を入れており、グローバルなビジネス都市としての発展も期待されています。これらの動向から、大阪市『観光とビジネスの両面で国際的な競争力を高める都市』として今後も成長が予想されています。

    みんちりえ( https://min-chi.material.jp/ )

     


    民泊ビジネスのニーズ

    このような背景から、民泊ビジネスも引き続き発展が見込まれ、適正な運営を行うことで、地域経済の活性化にも貢献が期待されます。民泊のご相談の際は大阪民泊申請ガイドまでご連絡ください。

     

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