法定相続人が関わる実務のポイントとは?相続トラブルを防ぐ知識を行政書士が解説

法定相続人が関わる実務のポイントとは?相続トラブルを防ぐ知識を行政書士が解説

法定相続人を正確に把握することは、相続手続きの入り口に過ぎません。
実際の現場では、誰がいくら相続するのか」「遺言とどう両立させるか」「相続人がいない場合どうするかといった実務上の課題が山積しています。
行政書士として数多くの相続案件をサポートしてきた経験から、特に重要な実務ポイントを解説いたします。

相続分の計算方法と注意点

法定相続分とは?基本の割合を確認

法定相続人が複数いる場合、それぞれの相続割合(法定相続分)が法律で定められています。
たとえば配偶者と子が相続人であれば、それぞれ1/2ずつ
子が複数人いれば、その子たちで1/2を均等に分けます。
父母と配偶者であれば、配偶者が2/3、父母が1/3を分け合う形になります。

具体的な計算例とよくある勘違い

実務でよくあるのが、「同居していたから多くもらえるはず」といった感情的な期待と、法定相続分のズレです。
以前ご相談いただいたケースでは、長男が亡父と同居し介護していたのに、相続分は他の兄弟と全く同じで納得がいかないといった不満がありました。
こうした場合、「寄与分」や「特別受益」の主張が必要で、通常の手続きだけでは処理できません。
相続分の算定は、法的根拠と冷静な話し合いが不可欠です。

法定相続人がいない場合の扱い

遺産は国庫に帰属する?相続財産管理人とは

法定相続人が一人もいない場合、遺産は最終的に国庫に帰属します。
ただし、いきなり国のものになるわけではありません。
まず、家庭裁判所が選任する「相続財産管理人」が、債務の清算や財産の管理を行います。
この過程で、まだ見つかっていない相続人の調査も行われます。

私の事務所でも、戸籍を追って全国各地の親族を調査したケースがありました。
時間も手間もかかるため、遺言書で信頼できる人を遺産の受取人として指定しておくことが最善策です。

遺言書と法定相続人の関係

遺留分に注意|すべての遺言が通るわけではない

遺言書があれば、原則としてその内容が優先されます。
しかし、法定相続人には「遺留分」という最低限の取り分が保障されている(兄弟姉妹を除く)ため、すべての遺言が無条件で通るわけではありません。

たとえば、「全財産を第三者に遺贈する」と書かれていても、配偶者や子どもは遺留分侵害額請求を通じて取り分を取り戻すことができます。
そのため、遺言を作成する際にも、法定相続人の有無とその関係性を慎重に考慮する必要があります。

実務でよくあるトラブルとその対策

兄弟姉妹だけが相続人のケースに注意

兄弟姉妹が相続人となるケースでは、関係が希薄な場合が多く、遺産分割協議が長期化・困難化する傾向があります。
特に「相続手続きを放置したまま10年以上経過」といった事案は少なくありません。
このような場合、早めに行政書士などの専門家に依頼し、手続きを進めることが重要です。

行政書士が支援できることとは

行政書士は、相続関係説明図の作成、戸籍の収集、相続人調査、遺産分割協議書の作成など、相続の実務部分を幅広くサポートできます。
「相続人が多すぎて調整ができない」「どこから手をつけていいか分からない」という方も、安心してご相談いただけます。

お互い連絡ができないなどで話し合いがうまくいかなくなる前に、また、相続人間で揉めてしまう前にあらかじめ遺言書を残しておくことをおすすめします。
相続は感情の問題でもあるため、中立で法律知識を持つ専門家が入ることで、無用な対立を避けることが可能になります。

まとめ

法定相続人に関する理解を深めることで、相続トラブルの9割は防げるといっても過言ではありません。
「もめない相続」のために、早めの準備と正確な知識を持つことが大切です。
もし少しでも不安がある場合は、お気軽に行政書士へご相談ください。

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