民泊記事vol5
連棟式長屋は、古くから日本の都市部に多く見られる建築形態で、壁を共有する複数の住戸が連なっているのが特徴です。民泊を運営する際には、一般的な戸建てやマンションとは異なる課題があります。今回は連棟式長屋で民泊を開業する注意点について解説します。
1.建築基準法上の制約
連棟式長屋は、一棟建物として扱われるケースが多く、建築基準法の規制を受ける点に注意が必要です。
・耐火基準の確認
民泊として利用する場合、用途変更が必要になること場合があり、その際に耐火性能が問題になることがあります。特に、隣接住戸との間の『界壁』の仕様が基準を満たしているか確認が必要です。
2.消防法の適用
民泊を営業する際には、消防法の規制を遵守しなければなりません。連棟式長屋は、建物全体で消防設備の適用を受ける可能性があるため、注意が必要です。
・自動火災報知器の設置義務
建物の規模や構造によっては、火災報知器の設置が求められる場合があります。特に、長屋の一部で民泊を運営する場合でも、建物全体の消防設備の適合性が問題になることがあります。
・隣戸との防火対策
民泊を運営することで、火災リスクが増加するとみなされることがあり、隣接住戸との防火対策を強化する必要があります。具体的には防炎カーテンや防火扉の設置が推奨されます。
3.管理規約・近隣住民との関係
連棟式長屋は、壁や屋根を共有しているため、近隣住民との関係が非常に重要です。
・管理規約の確認
もし建物に管理組合が存在する場合は、民泊の運営が許可されているかを確認する必要があります。管理規約で民泊が禁止されているケースもあるため、事前の確認が必要です。
・騒音・トラブル対策
連棟式長屋では、隣接住戸との壁が薄い場合があり、宿泊者の騒音が問題になりやすいです。
●室内に『静かに過ごすように』などの注意書きを掲示
●宿泊者に対して事前にルールを徹底
●夜間の騒音測定を行い、必要なら防音対策を強化
・隣人との事前相談
長屋は住民同士の関係性が密接なことが多い為、事前に民泊運営の意向を伝えておくことが重要です。反対意見が多い場合は運営方法を見直す必要があるかも知れません。
4.特区民泊の活用
大阪市などの特区では、旅館業法の要件を緩和した『特区民泊』の制度があります。長屋での民泊を考えている場合、特区民泊が適用できるかどうかも検討してみましょう。
最後に
連棟式長屋で民泊を運営する際には、建築基準法・消防法の規制、近隣住民とのトラブル回避、用途変更の可否など、多くの注意点があります。特に、近隣住民との関係が非常に重要になるため、事前に十分な調整を行い、スムーズな運営を目指しましょう。
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